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STORY

映画監督を夢見る助監督の野島の次の仕事は、貧困のヤングケアラーでありながらも成功したARISAの自伝小説の映画化であった。ところが、周辺で話を聞くうちに彼女に “ある疑惑”が浮かび上がる。この女は、悲劇のヒロインか、それとも犯罪者なのかー?名声を気にする監督、大ごとにしたくないプロデューサーといった撮影を中断したくない面々が、真実を追求する野島に圧力をかけてくる。やがて疑惑の火は、家族をも巻き込み野島の日常が崩れ始める…。

INTRODUCTION

本作は、『ヤクザと家族 The Family』の北村有起哉が主演を務め、『マッチング』の内田英治監督が現代社会の抱える問題や矛盾を映画制作現場という舞台を通して、人間の表と裏を炙り出していく完全オリジナル脚本で原案と監督を担うヒューマンサスペンス。脚本は内田と共同脚本を手掛けた『サイレントラブ』(24)のまなべゆきこ。数々の話題作に出演し信頼できる俳優として名高い北村は、内田監督作品への出演としては『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23)、『誰よりもつよく抱きしめて』(25)と本作で三作目となる。そんな北村と、『ミッドナイトスワン』(21)で第44回日本アカデミー賞優秀監督賞・優秀脚本賞を受賞し、幅広いジャンルの作品を手掛けエンタテイメントシーンをけん引する内田の強力なタッグが実現した。

主人公の助監督の野島役に北村有起哉、そして今回、自伝小説で成功した疑惑のヒロインを円井わんが務める。円井は、2025年度後期の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK)のヒロインの幼なじみ役として出演が決定しており、2025年の活躍に注目が集まりそうだ。さらに、理想論を振りかざす映画監督にかもめんたるの岩崎う大、揉め事を回避したいプロデューサーに片岡礼子、野島の妻に大山真絵子、野島の娘に中心愛など、個性派俳優が脇を固めている。

家族のことを顧みず、いつかは映画監督になることを夢見ながら撮影現場で働く助監督の野島が、次の仕事となるある少女の自伝小説の映画化の現場を切り盛りするところから、物語が動き出す。貧しい家庭で育ち亡き父の介護をするなど苦労して成功した少女ARISA。ところが、周囲の話しを聞くうちに、小説に書かれている美談とは程遠い“ある疑惑”が浮き彫りになっていく。この女は、悲劇のヒロインなのか、それとも犯罪者なのかー?映画化の根底を揺るがしかねない事態に陥っても尚、名声を気にして理想論を振りかざすエゴイストの監督、現場任せで大ごとにしたくない会社員プロデューサー、ギャラのために続けたいスタッフと様々な思惑で撮影を中断したくない面々が、真実を追求する野島に圧力をかけてくる。さらに、野島の口を封じるかのようにプロデューサーは、この現場を乗り切れば監督デビューができるかもしれないと囁くのだった。そして、真実が置いてきぼりにされたまま撮影は進められていく。やがて疑惑の火は、家族をも巻き込み野島の日常は崩れ始める…。

そもそも映画とは芸術かビジネスなのか?貧困をテーマにした作品など社会派と言われる映画はたくさんある。数多くのそういった映画が大きな映画祭で絶賛される。その映画を作っている人たちは本当に貧困問題に寄り添っているのだろうか? 映画制作現場を通して、きれいごとを語りながらも成功するために魂を売り、真実に向き合うことをやめてしまった大人たちに道徳観を問いただす、踏み絵的なヒューマンサスペンスが誕生した。

CAST

北村有起哉
野島浩介役:助監督
1974年4月29日生まれ、東京都出身。98年に『カンゾー先生』で映画デビューを果たす。
その後、数多くの映画やドラマ、舞台に参加。近年の主な映画出演作に、『ヤクザと家族 The Family』(21)、『すばらしき世界』(21)、『前科者』(22)、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23)、『キリエのうた』(23)、『愛にイナズマ』(23)などがある。近年の主なドラマ出演作に、「たそがれ勇作」(23/BSTX)、「舞妓さんちのまかないさん」(23/Netflix)、「完全無罪」(24/WOWOW)、NHK連続テレビ小説「おむすび」(24)、「いつか、ヒーロー」(25/EX)などがある。
コメント
それでも明日はやってくるように、それでも明日もどこかで映画の撮影や、演劇やバレエやオペラの稽古があって、テレビではドラマやバラエティや歌番組の収録がある。世界中で紛争が途切れることがないのに。だからこそかもしれないが、それらを楽しみにしてくれる人達がいる。希望を持たせるように、あるいは期待を裏切らないように、がっかりさせないように。そこに携わる作り手の人達はそれぞれが同じ方向を向いて頑張っているつもりだ。同じ目的で同じ方向を向いているはずだと。芸術とか芸能とかの立ち位置は時代とともに移り変わっていく。では、このうねりの速い今の時代ではどうすればいいのか?立ち止まることを恐れていないか?僕は願う。時代に沿った優しい作品や、時代に抗った厳しい作品を両方とも楽しんでくれる人達がこれからも増えてほしい。しみじみとそんなことを感じています。
円井わん
小原有紗役:自伝小説の作者
1998年1月3日生まれ、大阪府出身。2016年から俳優活動をスタートし、20年に初主演をした映画『コントラKONTORA』がタリン・ブラックナイト映画祭でグランプリを受賞。映画主演作に、『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(22)、『光はどこにある』(22)がある。近年の主な映画出演作に、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23)、『サイレントラブ』(24)、『バジーノイズ』(24)、『マッチング』(24)、『君の忘れ方』(25)、『知らないカノジョ』(25)などがある。
コメント
逆火でARISAを演じさせて頂きました。
内田英治監督の作品が俳優デビューの私としては、今回このような大役を頂けたことをとても嬉しく思います。
現代においての様々な闇をテーマに展開される社会派ヒューマンサスペンスです。何を大事にすべきか、何を天秤にかけるべきか、何を正義とするのか。北村有起哉さん演じる主人公の野島に降りかかる問題に観客の皆様も翻弄される作品となっている事と思います。
私自身、脚本を拝見した段階で多くの事を調べ多くの事を疑いました。
今を生きる皆様に本当に観ていただきたい作品になっております。「逆火」が沢山の方の目に留まりますように。是非劇場でお待ちしております。
岩崎う大
大沢祥平役:映画監督
1978年9月18日生まれ、東京都出身。2007年に相方・槙尾ユウスケと「かもめんたる」を結成し、13年には第6回キングオブコントで優勝。現在はお笑い芸人の枠だけにとどまらず、俳優や演出家としても活躍する。15年に旗揚げした「劇団かもめんたる」では、すべての作品で脚本・演出を担当。第64・65回岸田國士戯曲賞候補に選ばれる。主な映画出演作に、『仮面ライダー1号』(16)、主なドラマ出演作に、「面白南極料理人」(19/TX)、生きるとか死ぬとか父親とか」(21/TX)「ダメマネ! ―ダメなタレント、マネジメントします―」(25/NTV)などがある。
大山真絵子
野島幸役:浩介の妻
1987年生まれ、新潟県出身。24年公開『莉の対』でブエノスアイレス国際映画祭『Feature Film Fiction』部門の「BEST ACTRESS」を受賞。近年の主な出演作に、映画『INTERFACE 知能機械犯罪公訴部』(25)、『憧れdoll』(24)、『雨に叫べば』(21)、ドラマ『あらばしり』(25)、『街並み照らすヤツら』(24)など。映画『謝肉祭まで』(21)では企画・プロデュース・主演を務める。
中心愛
野島光役:浩介の娘
2003年3月17日生まれ、滋賀県出身。2021年に公開された短編映画 「Orange girl friend」では、ヒロイン・左橋ハルナを演じた。主なドラマ出演作に、「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」 (22/EX)、「最高のオバハン中島ハルコ2」(22/THK)、「墜落JKと廃人教師」 (23/MBS)などがある。
片岡礼子
橘郁美役:プロデューサー
1971年12月10日生まれ、愛媛県出身。第6回PFFスカラシップ作品『二十才の微熱』(93)でデビュー。以来、個性派女優として映画を中心に活動し、主演作『ハッシュ!』(02)で、キネマ旬報賞主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。主な映画出演作に、『愛がなんだ』(19)、『楽園』(19)、『空白』(21)、『バカ塗りの娘』(23)、『笑いのカイブツ』(24)、『マッチング』(24)、『嗤う蟲』(25)、『ぶぶ漬けどうどす』(25)などがある。主なドラマ出演作に、「モンスター」(24/KTV)、「外道の歌」(24/DMM TV)などがある。

DIRECTER

内田英治
原案・監督
1971年生まれ、ブラジル・リオデジャネイロ出身。映画監督・脚本家。「週刊プレイボーイ」の記者を経て99年「教習所物語」(TBS)で脚本家デビュー。伊藤沙莉主演の映画『獣道』(17)が多くの海外映画祭で評価されたのち、2019年、脚本・監督の一翼を担ったNetflixオリジナルドラマ「全裸監督」が世界で配信され、話題を席巻。その翌年公開された『ミッドナイトスワン』(20)が2021年に日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、世界各国の映画祭で上映された。近年では、『異動辞令は音楽隊!』(22)、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23)、『サイレントラブ』(24)、『マッチング』(24)、『誰よりもつよく抱きしめて』(25)など数多くの作品を手掛けている。
コメント
演技はもちろん大切だが、それ以上に人と人の縁が映画をつなぐ力になる。ずっとそういう思いがあります。今回はその縁を感じた俳優たちと、日常に潜むすれ違いをテーマにした映画を作りたい。小規模で自由な発想のもとで。そう思いついて撮影した作品が今作「逆火」でございます。変化する社会の中で、日常を生きる人々の感情の表裏を描いた作品で、主演は念願の北村有起哉にお願いしました。圧倒的なリアリティと奥深い内面的演技力を持ってらっしゃる俳優で、撮影中もカメラの横でその芝居に釘付けになりました。こういった形の映画を、インディーズスタイルで取り組めたことに感謝でございます。「演技」と「物語の視点」に改めて重きをおいて作りました。機会があればぜひ劇場へ足を運んでください。