
OPINION COMMENT
各界の著名人からコメント到着!
〈 50音順・敬称略 〉
-
映画.com編集部
岡田寛司世の中に「面白い映画」は数あれど「忘れられない映画」はそうそうない。あの表情、あの視線、あの言葉――簡単に忘れられるわけがないでしょ、あんなものを見てしまったら。諦めの境地にいた平平凡凡の男が無様に抗う。そこにアガる。ヒーロー映画ばりにアガる。今では「忘れたくない映画」になっています。
-
ミュージシャン
オカモトコウキ・OKAMOTO'S誰もが自分の生活に必死だ。そして誰もが孤独に耐え続けている。 自分のことに必死なだけの僕らは、どこまでそれを想像できるか、どこまで関わるか。少しのことで結末が大きく変わるかもしれないのだ。誰もが自分の人生に重ね合わせるであろう一作。
-
アナウンサー
笠井信輔人として生きるのか?水道局員として生きるのか? 水道局にこんなドラマがあったとは…。生田斗真の虚ろな目つきが停水作業の深い葛藤を見事に体現。そして、幼い姉妹の水に寄せる深い思いと無垢な姿が脳裏から離れない。これはコロナ後に誕生した令和時代の「誰も知らない」なのだ。
シネマトゥデイ編集長
下村麻美「渇水」という文字の持つ意味が、映像、人物の表情、ストーリー、すべてから痛いほど伝わってくる。テーマがここまで明確に表現されて100分に凝縮されているからこそ映画として傑作といえる。生田斗真と山﨑七海の物言わずともその佇まいから、真摯に人生と向き合っている人たちの、どうにもならない哀しさがものすごいエネルギーで表現されている。
-
物書き
SYO作り手の渇望と、時代の飢渇がここまで符合した作品も珍しい。
作品観賞の域を超え、現の事象や人物として目撃してしまった。 ライター
武田砂鉄人間は、ある人にはとても冷たくて、ある人にはとても優しい。
それを自覚している。それをできるだけ自覚しないように生きている。
誰もが抱えている矛盾を突きつけてくる。-
水ジャーナリスト
橋本淳司自然界を流れる水は無料だが、蛇口から流れる水は有料。水はあらゆる生命の命を支えるが、料金を支払わなければ水道は人の手により止められる。その作業は一瞬だが、止められるのも、止めるのも地獄。
音楽プロデューサー
松尾潔ヒートアップした社会では水も人間も蒸発する。お釈迦様の視界からも外れた、蜘蛛の糸さえ届かない場所がある。ならば、気づいた人間から動くしかない。動く者のところに糸は垂れてくる、雨も降ってくると信じて。渇いてからでは遅い。
-
映画評論家
森直人「生ける水」を止めるのも、与えるのも我々次第。
お前の敵はお前だ――この映画が突きつける自問自答。それは絶望や諦めに陥ることを拒絶する飽くなき人間信頼に基づくものだろう。
「仕方ない」なんてことは何もない。『渇水』は今年の日本映画を豊かに潤してくれる。 ライター/編集者
門間雄介日常のちょっとした違和から、不幸な現実を、思うに任せない生を浮かび上がらせる――猛暑のぎらつく光の中に。こんなふうに鮮烈な日本映画の登場を待っていた。
「こども六法」著者・ミュージカル俳優
山崎聡一郎原作の刊行から30年というが、今なお、あらゆる登場人物たちがリアリティを持ち続けていることこそ、私たちが向き合わなければならない課題であろう。身の回りで必ず起きている様々な渇きに対して、私には何ができるだろうかと、改めて思案した。
-
作家
吉川ばんび置き去りの子ども、容赦のない給水停止、狭間の大人達。水面のようにゆらめく心情描写と彼らの悲願に、心を打たれる。