INTRODUCTION

自閉症者の内面を語った内容が大反響を呼び、世界30か国以上で出版された大ベストセラーを映画化! 『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール、角川文庫、角川つばさ文庫)は会話のできない自閉症という障害を抱える作家・東田直樹がわずか13歳の時に執筆したエッセイ。他者との会話が成立しづらいため、今まで理解されにくかった自閉症者の内面の感情や思考、記憶を分かりやすい言葉で伝えた内容が大きな注目と感動を呼び、その後30か国以上で出版され現在117万部を超える世界的ベストセラー作品に。 サンダンス映画祭で観客賞受賞など、海外映画祭で絶賛! このベストラー作品をもとに映画化された『僕が跳びはねる理由』は世界最大のインディペンデント映画祭としても有名なサンダンス映画祭(第36回/2020年1月開催)ワールド・シネマ・ドキュメンタリーコンペティション部門において観客賞を受賞、更に同じく2020年10月に開催された第39回バンクーバー国際映画祭の長編インターナショナルドキュメンタリー部門観客賞とインパクト大賞のダブル受賞など、高い評価を受けた。2005年、わずか13歳の少年が紡いだ言葉が海を越え、今もなお世界中の自閉症者やその親たちに希望を与え続けている。 自閉症者が見つめ、感じ、生きる世界を通じて、“普通”とは何か、そして“会話”の大切さを描く、感動のドキュメンタリー! この映画は自閉症者の内面がその行動にどのような影響を与えるか、また彼らにとって自閉症という障害が意味するもの、そして彼らの世界が“普通”と言われる人たちとどのように異なって映っているのかを、世界各地の5人の自閉症の少年少女たちの姿やその家族たちの証言を追い明らかにしていく、誰も観たことのない驚きと発見に満ち溢れている。そして、「普通とは?」「個性とは何か」という普遍的な疑問、「会話(=コミュニケーション)の大切さ」「多様性の重視」など…他者と分断されている今を生きる誰もが共感しうる、感動のドキュメンタリー映画である。
世界中で大反響 東田直樹著『自閉症の僕が跳びはねる理由』と映画『僕が跳びはねる理由』とは…? 映画『僕が跳びはねる理由』の元となった原作『自閉症の僕が跳びはねる理由』は作家・東田直樹がわずか13歳の時に執筆したエッセイ。理解されにくかった自閉症者の内面を、自らも重度の自閉症を抱える著者が平易な言葉で記した内容が大きな注目と感動を呼んだ。その原作を英訳したのはデイヴィッド・ミッチェルとその妻ケイコ・ヨシダ。デイヴィッド・ミッチェルはトム・ハンクス、ハル・ベリー主演の映画『クラウド・アトラス』(2012)の原作などで知られるイギリスのベストセラー作家である。日本に滞在していた経験もあるデイヴィッド・ミッチェル、自らも自閉症の息子を育てる彼らが、困り果てていた我が子の行動に対する疑問の答えを東田の『自閉症の僕が跳びはねる理由』の中に見つけ、「世界中の自閉症の子を持つ親にもこの本を読んで欲しい、伝えたい」という願いから翻訳を行ない、2013年『The Reason I Jump』として出版した。『The Reason I Jump』は瞬く間に話題を呼び、現在では世界30か国以上で出版され、117万部を超えベストセラーとなり、今現在も話題を呼び続けている。一方、2014年NHKが原作「自閉症の僕が跳びはねる理由」を取り上げ、「君が僕の息子について教えてくれたこと」として放映。番組内では東田直樹とデイヴィッド・ミッチェルが対面している模様も紹介された。その後「自閉症の君が教えてくれたこと」(2016)と翌2017年「自閉症の君との日々」(すべてNHK)と、3度に渡り本作が紹介された。そして、この英語版『The Reason I Jump』が、本作にも出演しているジョスの両親(本作のプロデューサーを務めるジェレミー・ディアとスティーヴィー・リー)の目にとまり、映画『僕が跳びはねる理由』が誕生したのである。

STAFF

  • 監督:ジェリー・ロスウェル 1962年生まれ。イギリスのドキュメンタリー監督。主な作品に、自然保護団体グリーンピースの創設者たちを描いた『CHANGE:グリーンピース誕生秘話』(2015)、2012年に起きた実在のワイン偽造事件を描いた『すっぱいブドウ』(2016)、教育科学者のスガタ・ミトラ氏が教育困難といわれるインドの辺境の地に子供が自律的に学べる学校を作る取り組みを記録した『教育革命』(2018)など。
  • 原作翻訳・出演:デイヴィッド・ミッチェル 1969年生まれ。イギリスのベストセラー作家。日本の広島や沖縄に長年滞在していたこともあり日本語が堪能。妻のケイコ・ヨシダは日本人。代表作に「ナンバー9ドリーム」(2001)、「クラウド・アトラス」(2004)、「出島の千の秋」(2010)、「ボーン・クロックス」(2015)など。「ナンバー9ドリーム」と「クラウド・アトラス」ではそれぞれ世界的権威のあるイギリスの文学賞であるブッカー賞の最終候補作に。また「クラウド・アトラス」は監督にウォシャウスキー姉妹、主演にトム・ハンクス、ハル・ベリーを迎えハリウッドで映画化。

自閉症とは?

自閉症とは発達障害のひとつ。原因は特定されておらず、生まれつきの中枢神経機能の障害であると考えられている。「対人関係の構築が難しく集団に馴染めない」「強いこだわりがあり変化を嫌う」という二大特徴があるが、これが本人の生活に支障を及ぼしていなければ障害とは呼ばない。反対に、それによって本人が苦しみ生活にもさまざまな不自由がある場合は、医療や福祉のサポートが必要となる。精神科の分野における自閉症の歴史はまだ80年に満たないため、その概念は近年でも大きく変化している。広汎性発達障害、高機能自閉症、アスペルガー症候群などの用語も生まれては消え、現在では「自閉症スペクトラム」(スペクトラム=集合体)という名称を使うのが一般的。「自閉症スペクトラム」は、障害者と見なす必要のない人まで含むと、全人口の10%を占めるとも言われる。もしもそれだけの人数がいるとなれば、これを「障害」と考えるのは無理があるだろう。現在では、「症状」を「個性」と受け止め、発達障害を持つ人を社会的マイノリティとして支援する流れも生まれている。
自閉症の僕と‟普通“であるみんなの未来はきっとつながる―“僕”たちが話したい・伝えたいこと 小さい頃は自分に障害があると知らなかった。なぜ気づいたか?“普通と違う”とみんなが言ったから 見かけで判断しないでほしい。少しだけ僕の言葉に耳を傾けて、僕らの世界を旅してほしい 僕は世界をどう見ているのか?見えるものはみんなと同じでもそれをどう受け取るのかが違う。みんなは物を見る時まずは全体を見てから部分を見ていると思う。僕の場合はまず部分が飛び込んでくる。 人と話そうとすると僕の言葉は消えてしまう。口から出る言葉は本心とは違う。
僕にとって自分の意思を伝えることが何より大切だったのだ。 時間はずっと続き、区切りがない。今言われたこともずっと前に聞いたことも、僕の頭の中ではあまり変わらない みんなの記憶はたぶん線のように続いている。でも僕の記憶は点の集まり。その全部がバラバラでつながらない 「いいのよ、彼は。1人が好きなんだから。」何度も聞いた言葉だ。僕だって本当はみんなと一緒がいい  みんなはすごいスピードで話す。頭で考えた言葉が口から出るまでがほんの一瞬だ。不思議でたまらない。僕には知らない外国語で会話するような毎日なのに  僕らはきっと文明の支配の外に生まれた。多くの命を殺し、地球を壊した人類に大切な何かを思い出してもらうために
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